ひらがなを書かない息子|父が見つけた3つの工夫

子育て

「ひらがな、やりたくない」――年中から始めたのに進まない

「ねえ、今日はひらがなのプリント、1枚だけやってみない?」

リビングのテーブルにひらがなドリルを広げ、鉛筆を出して、できる限り優しい声で声をかける。なのに、息子の返事はいつも一言。

「やりたくない」

うちの息子は、年中の終わりごろからひらがなに少しずつ触れ始めました。新しい1年生になる前に、せめて自分の名前と、お友達の名前くらいは書けるようになっていてほしい――。そんな親心で、本やワーク、シールやご褒美を用意し、できる限り楽しい雰囲気を作ってきたつもりです。

それでも、息子は鉛筆を握ろうとしない。机の前に座っても、5分で「もうおしまい」と言う。 気がつけば年長の終わりまで、書けるひらがなは数えるほど。「このまま入学して大丈夫なの?」と、私は焦りました。

同じような悩みを抱えているパパ・ママは、きっと多いはずです。今日は、私が1年以上かけて夫婦で試行錯誤して見つけた「ひらがなを書かない子」への向き合い方を、父親目線でお伝えします。

 

「書きたくない」の本質は、サボりじゃない

ひらがなを書きたがらない子に、こう感じていませんか?

 

「うちの子、根気がないんじゃないか」

 

「集中力が短すぎるのでは」 

私もそう思った夜があります。

でも、息子と毎日向き合いながら気づいたんです。 「書きたくない」のは、サボっているからではなく、まだ『書きたい理由』が育っていないからだと。

考えてみれば、私たち大人だって同じです。誰にも読まれない原稿用紙を、毎日30分埋めろと言われたら、3日でやめます。目的のない書く練習は、子どもにとっても苦痛なんです。

「ひらがなが書けない」のではなく、「書く理由がまだない」だけ。

ここを取り違えると、ドリルを買い増しても、ご褒美を増やしても、根本的には解決しません。むしろ、書くことへのアレルギーが強くなる方向に進んでしまいます。

 

6歳がひらがなを書きたがらない、3つの本当の原因

私が息子と1年以上付き合いながら見えてきた、書きたがらない原因は次の3つです。

原因①:そもそもペンを握ること自体に慣れていない

これは、見落としがちな盲点でした。

ひらがなを書くというのは、実はとても高度な作業です。ペンを「正しく」握り、適切な力で紙に押し当て、決まった軌道で動かし、止めて、はらって、はねる。4〜6歳の手は、まだそれをスムーズにこなせる準備ができていないことが多いんです。

息子の場合、書こうとすると肩がこわばり、手首が固まる。5分も続かない。これは怠けではなく、身体的に本当にしんどかったんだと、後から気づきました。

原因②:書くことを「届ける相手」がいない

ひらがなドリルの問題は、書いた文字が誰にも届かないことです。

「あ・い・う・え・お」と練習帳に書いても、それは誰のためでもない。読んでくれる相手がいない。これでは、子どもがやる気を出せないのも無理はありません。

私自身、上司から「(役に立つかもわからない)議事録を作るように」と言われたときの、あのモチベーションの上がらなさを思い出しました。書く行為は、本来、誰かに何かを伝えるためのものです。それが抜け落ちている練習は、ただの作業になってしまいます。

原因③:そもそも「文字」を意識する機会が少ない

絵本を読んでもらっていても、子どもは「絵」を見ているだけで、文字を「文字として」認識していないことが多いです。

「読めない」「書けない」の前に、そもそも子どもの世界の中で『ひらがながどこにあるのか』が見えていないことがあるんです。

「書けない」と決めつける前に、「見えていないかも」と意識する。

父が見つけた、3つの工夫

ではどうしたか。我が家で実際に効いた、3つのことを紹介します。お金もほとんどかかっていません。

工夫①:嫁さんに任せた「お絵描きの時間」が、ペン抵抗を消した

うちで一番効いたのは、間違いなくこれです。

実は、お絵描きを息子に根気強く付き合ってくれたのは、専業主婦の嫁さんでした。私は仕事から帰ってきて、リビングでクレヨンや色鉛筆を握っている息子の横顔を見るだけ。でも、その積み重ねの効果は本当に大きかったんです。

毎日のお絵描きを通じて、息子は「ペンを握って、紙に何かを描く」という行為そのものへの抵抗が、いつの間にかゼロになっていました。 「ひらがなを書く」前に、まず『ペンと友達になる』こと。ここを母親と二人三脚で乗り越えてくれたおかげで、ひらがなの心理的ハードルが、ぐっと下がっていたんです。

これは、振り返って強く思います。お父さん一人でも、お母さん一人でも難しい。家族で役割を分担して、子どもの身体感覚を育てる。これが、ひらがな練習の見えない土台になります。

「字を書く」より先に、「線を描く」を家族で楽しむ。

工夫②:寝る前の読み聞かせで、文字を「指さしながら」読む

これは主に私の担当でした。

息子が0歳のころから続けている、寝る前の絵本の読み聞かせ。ある時期から、私は文字を指でなぞりながら読むようにしました。「むかーし、むかし……」の「む」のところで指を置く。読んでいる箇所を指をさしながら読む。

最初は息子も無関心でしたが、続けているうちに、ある日突然、絵本の中の同じ文字を「これよめるよ!」と指差すようになりました。ひらがなが「絵」の一部から「読める記号」に変わった瞬間です。

書く前に、文字を「目で追える」「同じ文字だと気づける」感覚を、寝る前の10分で育てる。これは、絵本ブログを書いている私だからこそ強くおすすめしたい工夫です。

読み聞かせの指さし読みは、家庭でできる最強の文字導入。

工夫③:こども園のお友達との「お手紙のやり取り」が、本物の動機を作った

これが一番、息子のスイッチを入れてくれました。

息子は年長のころ、こども園のお友達と何度か手紙のやり取りをするようになりました。家族との練習用の手紙ではなく、お友達との本物のやり取りです。

初は、お友達がくれた一枚の紙に「だいすき」とだけ書いてあるだけ。でも、それを受け取った息子の表情が、本当に輝いていたんです。「ぼくも書く!」と言って、その場で色鉛筆を握りました。家族同士の練習用の手紙とは、まったく違いました。「お友達に伝えたい」という気持ちが、息子の中で初めて湧き上がったように見えました。

ここから、息子の「書く」へのモチベーションは向上しました。 書くことの価値は、誰かと心が通うことにある――この当たり前のことを、息子が教えてくれた気がします。

書く練習の壁を破るのは、ドリルではなく、友達からの一通の手紙。

今日から試せる、5つの具体アクション

明日からこの順番で試してみてください。お金も特別な教材もほとんどいりません。

  1. ひらがなドリルを、いったん本棚の奥にしまう(封印するくらいの気持ちで、実際購入したドリルが5冊ほど棚の中に眠っています(笑))
  2. クレヨン・色鉛筆・お絵描き帳をリビングに置きっぱなしにする(夫婦で交代しながら付き合っていきましょう)
  3. 寝る前の絵本タイムで、親が文字を指でなぞりながら読む(1冊だけでOK)
  4. こども園・保育園・幼稚園のお友達と、お手紙が交換できる機会があれば積極的に応援する(先生に相談してみるのも◎)
  5. 子どもが書いた文字を、写真に撮って残す(成長記録になり、本人のモチベーションにも繋がります、冷蔵庫など目につく場所に貼っておくのも◎)

特に5つ目は、親自身の焦りを和らげる効果もあります。「書けない」と思っていた子が、実は少しずつ書けるようになっていた事実が、可視化されるからです。

進歩が見えると、焦らなります。親が焦らなくなると、子どもはしぜんと書き始めます。

まとめ:書く練習は、急がせると遠ざかる

ひらがなが書けないと、つい「入学に間に合わない」「お友達に遅れる」と、親は焦ります。私もそうでした。

でも、年中〜年長〜小1にかけての約2年間を息子と過ごして、感じたことがあります。 書く練習は、急がせれば急がせるほど、子どもから遠ざかっていくということです。

逆に、夫婦で役割を分けてお絵描きでペンに慣れさせ、絵本の読み聞かせで文字を見る目を育て、お友達との手紙で「書きたい」を引き出す――これらを淡々と続けるだけで、子どもの鉛筆は自然に動き始めます。

入学から1ヶ月。学校でひらがなの授業が始まり、新しいプレッシャーがかかる時期だからこそ、家庭は「正しく書かせる場所」ではなく、「書きたくなる場所」であってほしいと、父親として強く思います。

ゴールデンウィークは、家族で改めて「書く・描く」を楽しむ絶好のタイミングです。お絵描き、絵本の指さし読み、お友達への手紙。この3つを意識して過ごすだけで、5月以降の家庭学習の風景が、ぐっと変わるはずです。

 

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