柴犬とトカゲを捕まえた話

日々の記録

「ぴと」と音がきこえて目を向けると、トカゲがいた。

昨日TSUTAYAで買った小説を読み終えた後、余韻に浸ろうとした瞬間だった。

こちら側から見て流し台の裏側に何かくっついている。動いているようなので生き物だろう。

そっと本を窓際におき、呼吸を整える。

相手を見逃さないよう目線は逸らさずに湯船から出て電気をつける。

土色をしており、目はパッチリ上を向いていた。

体調5cmほどの小さなトカゲがそこにいた。

なぜ風呂場にトカゲが出てくるのだ?

「ぴと」という音は上から落ちてきたからか?

なぜこのタイミングで?

そもそもどこからきた?

いくつかの疑問が頭をよぎるが、ひとまずはこちらの体制を整えなくてはならない。

家から出すのが先決だ。

扉を閉めてトカゲの出口を塞ぐ。体をふき、服を着て再度目標を確認。

床に移動したようだ。なるべく目立たないよう影に潜んでいる。

私は虫や爬虫類などは苦手だ。できれば触りたくない。

6歳の息子が起きていれば難なく捕まえてくれるのだが、すでに寝息を立てている。

今夜ばかりは寝るのを促さないほうが良かったかもしれないと後悔する。

一人でなんとかするしかない。一旦退き、軍手を装着。洗面器にトカゲを入れて外に出す作戦に出る。

トカゲは思いのほか素早く、なかなか洗面器に入ってくれない。入ったとしてもすぐに出ていってします。トカゲが走るたびに冷や汗が走りあとずさりする。

柴犬のシリウスが何事かと後ろからこちらをのぞいている。名案を思いつく。シリウスに捕まえてもらおう。

普段から庭で虫を追いかけたりして遊んでいる。動くものは大好きだ。食べてしまう可能性もあるが、きっと弱らせることは容易だろう。ひとまず風呂場にシリウスを入れる。

最初は何故入れられたのかわからない様子だったが、トカゲの動きを見て動きが変わる。躊躇なくトカゲの匂いを嗅ぎに行き、前足で捕まえようとする。小さいのでなかなか捕まえられない。ただトカゲの動きはさっきよりも大分鈍くなった。

そのすきにビニール袋でトカゲを捕まえて袋の口をしっかりと握った。手応えはあまりなかったが、黄色い袋の中でうっすら影が見えたので、中に入っているだろうと思うことにした。

シリウスは自分の獲物がいなくなったことにとまどい、あたりを嗅ぎ回っている。私が袋を向けても特に気にする様子はなく、さっきまでトカゲがいた風呂の蓋に頭を向けている。

そっと外に出て袋を開くと、トカゲがすすすと出てきた。特に怪我はないようだ。尻尾が切れているような気がするが、元気に歩いていったのでまあよしとしよう。

とにかくこんばんは安心して眠る事ができる。体を洗うのは明日にしよう。

協力してもらったシリウスに、おやつを一つあげることにした。

 

 

 

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